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もう二度とみたくない映画のはなし

こんにちは、あみ(@kusateni)です。

今日は、タイトルどおりもう二度とみたくない映画のはなしをしようと思います。私は、少しシュールで不思議で、エッセンスにちょっとだけ怖いような童話的でファンタジーな世界観がとても好きです。

ヤン・シュヴァンクマイエルの映画は、まさにそんな感じでした。シュヴァンクマイエルの作品に出会ったのは、大学1年のときのアニメーションの授業。表象の分野が存在する私の大学では、映像系の授業がかなり多くあって、この授業では実写を用いたコマ取り、クレイアニメトムとジェリー、蒸気船ウィリーなどさまざまな題材を用いて表象のあり方を考えるものでした。

授業の中で紹介されたのは、シュヴァンクマイエルの短編作品、『ジャバウォッキー』でした。ニコニコに動画落ちてます。これもまあかなりシュールというか、いきなりケツドラムから始まるような作品です。人形の中から人形が出てきたり、アイロンでプレスされたりバラバラミンチにされたり、そんな感じのものなので人によってはこの段階から「意味わかんない」とか「怖い、気持ち悪い」と思う人もいるかもしれません。私も初めて見た時には不思議な不気味さ?というか、言葉で表せない気持ちを感じたのですが、無理やり文脈を設ければいくらでも解釈できるけど、理解することに意味がないような夢のような世界観にすっごく興味を持ちました。

それからしばらくして、渋谷のイメージフォーラムという小さな映画館でシュヴァンクマイエル作品が期間限定で上映されることを知り、私はさっそくチケットを取りました。見たのは『アリス』(これはYouTubeにも上がってます)と『オテサーネク』、あともう一本は忘れました。もともとルイスキャロルの『不思議の国のアリス』が大好きで、小学校の頃の学級文庫に入っていた文庫本を何度も何度も読んでいたので、「この人はアリスの世界をどんな風に表現するんだろうな」と思ってアリスを見るのは決めていたのですが、せっかくならばもう一本と思い、選んだのが『オテサーネク』です。

本題に戻ります、「もう二度とみたくない映画」とは、この『オテサーネク』のことです。ここでは特にあらすじなどには言及せず、いかに二度とみたくないのかを書いていこうと思います。

さっきふと思い出して画像検索したら、気持ち悪さが一気に蘇ってきました。この映画を一言で表すには、「不快感」が一番だと思います。登場人物の不快感、音声の不快感、描写の不快感、食事シーンの不快感(宮崎駿は食べ物をおいしく表現することで有名ですが、シュヴァンクマイエルは世界一食事シーンを不快に表現するクリエイターだと思います)、そしてオテサーネクから発せられる子供の泣き声の不快感。これらの不快感が一斉に押し寄せてそして恐怖に変わっていきます。ただのシュールな映画だと思ってみていたらすぐに裏切られることになります。ある程度グロ耐性もあると思っていた私ですが、直接的なシーンはないもののその裏の残酷さを想像してしまい、ただ単純に人が切り刻まれるよりも全身が凍りつくような恐怖感がありました。終わった後は力が抜けてすぐに立ち上がることができず、いい意味でも悪い意味でもこんなに衝撃を受けた映画ははじめてでした。夢がこわく感じるのと同様、わからない世界に遭遇すると恐怖を感じるんだなと思いました。

グーグル検索すれば簡単なストーリーは出てきますし、YouTubeでも予告編やら本編の切り取りやら出てくるので、興味がある方は覗いてみてください。こんな風に言っておいて、興味がわくような物好きな方はとっても少ないと思いますが、まあこれも世界観を広げる上ではいい経験だったかなと思っているのでもし機会があれば。たまに全国の小さな映画館で復活上映していたり、場所によってはレンタルしてるところもあるみたいです。これだけ気持ち悪い気持ち悪いと言いましたが、子供の誕生や母性愛についてとても考えさせられる作品であり、もう二度とみたくはありませんが、決して忘れることができる気はしません。

 

シュヴァンクマイエルの頭の中を想像するのは不可能な気がしますし、精神状態大丈夫かとも思いますが、誰かの心に大きく印象を残す、という点では、彼は本当に天才、もしくは筋金入りの変態なんだろうな、と思います。